25647人が本棚に入れています
本棚に追加
間もなくして、志朗が口の周りを拭きながら涼子の傍へと歩み寄った。
だが視線は涼子ではなく、扉を見つめている。
部屋にある唯一の扉を。
「……和希、ごめんね」
血で濡れている和希の髪を撫でながら、掠れて今にも消えてしまうそうな声で言った。
既に涙は止まっていて、落ち着いた様子で頭部に話しかけている。
「和希、仇は取るからね?」
誰が殺したのかは定かではないが、涼子の中では前川が殺したと確信しているらしい。
最初のコメントを投稿しよう!