求人情報‐綾瀬 里香‐

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癌に蝕まれている。その言葉に里香は、眩暈にも似た感覚に襲われた。 両親を交通事故で失い、孤独となった里香を引き取り世話をしてくれた祖母。 「……助からないんですか?」 「そうですね。転移をしない内に手術をすれば大丈夫でしょう。しかし癌は進行が速く、あまり猶予をないと思われます」 「……猶予をどれぐらいですか?」」 険しい表情でカルテを眺めている医師に訊いた。里香は恩人である祖母を、どうしても助けてあげたかった。 「それは分かりません。しかし早ければ早いほど、助かる可能性が高いのは確かです」 「そうですか、それで手術の費用は?」 「現段階ではハッキリとした金額は言えません。保険には加入していないようですし。それに手術費以外にも、入院代もかかります。それなりの金額としか言えません」 いくらにせよ、きっと18歳の里香には払えない金額なのだろう。貯金もなければ、頼れる親族もいない。 「……必ず用意しますので、宜しくお願いします」 里香は深々と一礼をし、重い足取りで病院を後にした。 外に出た途端、蝉に鳴き声に囲まれた。普段は耳障りでしかないが、今だけは自分を応援してくれているように思えた。 「おばあちゃん、私が助けるからね」 病院を見据えながら呟き、里香はコンビニへと向かうことにした。頼れる人がいないのだから、自分で金を用意するしかないのだ。
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