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届くはずのない視線を感じ、負けじと空を見つめ返す。
交わらない視線を合わそうともがき、意識だけは一点に集中させながら、先に外した方が負けだと、稚拙な線引きをしてじっと耐えた。どうやら意地になっていたらしいことに、今更ながら気が付いたが、こうなってしまった以上、自分から退くわけにはいかなかった。
そんな子供じみた対峙の結末は、やはり呆気なく訪れた。ふ、と向こうから一方的に終止符を打たれてしまったのだ。
それが嘲笑だったのか同情だったのかは、この距離からではわからなかったが、幼稚なルールを超えて負けを認めさせられたことだけはハッキリとわかった。
それが気に入らなかった。自分の弱さだけを肯定され、納得され、情けをかけられた。
もちろん、相手が本当にそういう意図を持って幕を引いたのか、そもそも本当にそんなやり取りが交わされていたのかは定かではない。
それでも感じてしまった。わかってしまった。僕には、こんな日常をはみ出す勇気すらないのだと。
だからだろうか。
飛び降りてしまえ、と、そんなことを思ってしまったのは。
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