少年と彼女の日常

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岩がつくる影に寄り添って、祭りの後を見渡した。 放った煙はもうすっかり晴れて、砂浜の上には花火の抜け殻が散乱していた。 靴の中が気持ち悪いのは、いつの間にか吸い込んだ砂のせいだろう。 波の音と風の音。静の空間に流れるリズムは、さっきまでのテンポをすっかり忘れてしまっているみたいだった。 「お待たせ。」 頭上から声がして、頭の上に冷たい重さがのしかかった。 「ありがと。」 それを両手で包み込んで、顔の前に持ってくる。 海より澄んだ青色の清涼飲料水のアルミ缶。 こんなに鮮やかな色をしていても、濁った海に入ればゴミとして汚れの原因になってしまう。 そう思うと、直ぐに缶の蓋を開けるのは、いけないことのような気がして、しばらくその冷たさだけを手に移すことにした。 「それでよかったんだよね?」 自分の分を開けながら、彼女が不思議そうに尋ねてきた。 「うん。でも、」 ゴミを増やすことになりそうだから、と、考えていたことをそのまま伝えた。 「真面目だね、律は。」 彼女は笑いながらそう言うと、僕の隣に立ち、 「片付けるよ、ちゃんと。」 と、散らかった砂浜を見て、呟くように言った。
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