憧れと嫉妬の間

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あるところに、とても仲の良い双子の姉妹がおりました。 資産家の令嬢であった彼女らは、その肩書きに相応しく、幼くしてその才覚を発揮して、小さな街では知らぬ者がいないくらい、その名は広く知れ渡っていました。 二人は、何をするのも一緒で、お稽古に遊びに、いつも仲良く励んでいました。妹はいつも姉の後をついて回り、姉のすることは何でも真似をしていました。 そんな、見た目もうりふたつな二人がお互いに違いを感じ始めたのは、中学生に上がった頃。二度目の定期テストを迎えた時でした。 それまでいつも一緒だった二人に、産まれた時以来の公然たる差が着いたのです。 その差、僅かに5点。 だけどその小さな差は、妹の心を掻き乱すには、十分過ぎる差でした。 その些細なミスを取り返すべく、妹は必死に勉強しました。 追い越すためではなく、再び並ぶために。 そう、実は初めから、似た者姉妹には差があったのです。 しかし、初めの頃は少し頑張れば届くような、それを差と言っていいものか迷うような、針の穴程度の小さな小さなものでした。 それが歳を重ねる度に大きくなっていき、遂に周囲の目に触れることになってしまったのです。
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