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そして二人は、高校進学を機に、別々の道を歩むことになります。
姉は地元の進学校、妹は近くの女子高へと、それぞれ通うことになりました。
姉は進学先でも優秀さに変わりはなく、その才覚と人望から生徒会長にまで上り詰めました。
妹も、姉のいない学校で、トップクラスの成績を上げ、外面上は全てがうまくいっているように見えました。
しかしそれでも、彼女の心に生まれた劣等感は、消えることはありませんでした。
いっそ、歳が離れていれば良かった。
いっそ、血の繋がりなどなければ良かった。
浮かんでくるのは、現実を呪う呪詛ばかり。
そして、
こんな思いをするくらいなら、いっそ、産まれて来なければよかったのに、と。
遂にそんなことを考えるようになってしまいました。
彼女が追い続けた理想は遥かに遠く、その眼差しに焼き付けて綺麗に模倣した羽も、いつの間にかいびつに歪んで、もう自分には羽ばたくだけの力も残されていないのだ、と。
うなだれる妹に、姉の幻影が語りかけます。
あなたは飛べる?
自分に劣る妹を嘲笑うかのようなその質問に、妹は決意を込めて答えます。
私は飛べる。
そして向かった先は屋上。目指したのは自由な空。
羽を失った彼女がその後どうなったのかは、誰も知ることはありませんでした。
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