憧れと嫉妬の間

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教室のドアを開けると、僕を待っていたのは厳しい現実だった。 降り注ぐクラスメイトの視線。 そこかしこで上がる、囃し立てる声。 隅ではひそひそと密談が行われ、僕の席だけ、さながら証言台のように重々しい空気を纏っていた。 その周りには、尋問を心待ちにしている友人だった者たち。 その光景に、昨日この場で起こった一部始終を思い出した。 大方そのことで、このクラスだけ浮いたように盛り上がっているのだろう。 …………中学生か、お前らは。 「さて、律君。 君は今、どういう立場に置かれているか、わかっているかね?」 席に着いた僕に、明らかに上からものを言う、友人だった者代表。 その名は海。 広くて大きな心を持つはずだった少年は、実に器の小さな人間に成り下がっていた。 「まあわからなくてもいい。 これから我々がする質問に答えてくれればそれでいい。」 彼の変な口調はおそらく、やってみたかっただけ、なのだろう。 そういう単純な男だ、こいつは。 「さて、律君。 昨日のアレはなんだ?」 ……なんだとはなんだ。 「そして誰だ? 見当がつかないわけでもないが、君の口から聞きたい。」
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