55人が本棚に入れています
本棚に追加
飛べない少年
―あなたは飛べる?
愚問だった。僕は人間だ。人間には羽がない。それを補う力もない。とかく地にへばりついて、遥か頭上の大空に想いを馳せることしかできない、僕はそんな、ただの人間だ。
―私は飛べる。
だが、目の前の人間は、臆面もなく言い切った。
僕にはそれが信じられない。飛べない。飛べるわけがない。
―なら、見せてあげる。
そう言って、自分の身体を地面に縛り付けていた金網から、手を離す。
次の瞬間、その身体は宙に舞った……
最初のコメントを投稿しよう!