それは、鮮やかな

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通りにでると、俺はまず花屋へ向かった。 そこで目立たないように赤い花を買う。 と言っても、何処かからカメラのシャッター音が聞こえたから、バッチリ撮られてるんだろうけど。 花は赤ければ何でも良い。気分から、なんとなくガーベラにした。花言葉なんてシャレたものは分からない。 花を買うと、俺はいきなり走り出した。 後ろから慌てたような足音が聞こえてきたが、構わず裏路地へ入り込む。 グネグネと曲がっている裏路地では、人を撒くなんて簡単だ。 まもなく俺は一人になり、会社からそう遠くない所にある一本のリンゴの木の所へと向かった。 自由になってから、俺達は会社を作った。その名も『アルビノ』。 全ての奴隷が解放された訳ではなく、少数だが未だに奴隷を使っている貴族連中も確かに存在する。 そんな奴らと交渉し(相手が武力を使ってきた場合は武力を用いて)、残された奴隷を解放するのが仕事だ。
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