それは、鮮やかな

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リンゴの木の所にたどり着くと、辺りにさっきの奴らが居ないか確認する。 ここはまだ嗅ぎ着かれていないようだ。 その木になっているのは、青リンゴ。俺は、なるべく美味しそうなものを二つ選んで、もぎ取った。 これで準備は整った。後は、村外れの森に向かうだけだ。 俺はゆっくりと歩き出した。 『アルビノ』と言っても、俺達は生まれつき色素が無い本物のアルビノではなく、単に肉体的、精神的な疲労から髪の色が抜け落ちて白くなっていただけだ。 貴族連中が俺達をアルビノと呼び出したのを否定しなかっただけで、実際、目の色は赤ではなく黒や茶色、青などの至って普通の色だった。 自由になり、苦痛から解放された仲間たちは、次々と本来の髪の色を取り戻していった。 様々な所から寄せ集められた俺達は、当然髪の色も様々で、始めは白一色だった俺達が少しずつカラフルになっていくのは結構面白かった。 俺も他と同様に、黒髪に茶色の目という本来の容姿を取り戻した。 アイツは… アイツの、ラッドという男の、本来の髪の色は分からない。 ただ、アイツの目は常になんとなく輝いて見えた。 その色は、綺麗な緑色だった。
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