11人が本棚に入れています
本棚に追加
「ヒロ、誰かと遊んでたの?」
自分の声が、あたし自身の耳にさえ、ふるえてひびいた。
「ねえ。誰とお話してたの?」
ヒロは、ふてくされたようにうつむいた。
「ねえ。誰かいたの?」
「別に」
ひどく冷たい響きのある返事だった。
そんなヒロの態度も、冷やかな物言(ものいい)にも、はじめて接っした。
戸惑いながらも、あたしは、ちょっと「むっ」となった。
「外に出るなら、部屋をちらかしたままじゃ駄目よ」
つい叱(しか)る口調になった。
「積木しまうのに何分もかからないでしょう?」
「余計なお世話よ」
え?
あたしは自分自身の耳を疑った。
「余計なお世話。ヒロはまだ積木で遊ぶんだもん」
すねた口調で言った。
最初のコメントを投稿しよう!