第一章  陽炎(かげろう)  

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 小さい子でアイスの誘惑(ゆうわく)に勝てる子なんているはずがない。  それに。。  そう。。。  アイスを食べる時なら、いくら「好きなお面」だって取らないわけにはいかないのだし。。。  あたしは正直に言って、その子の「素顔」が見てみたかった。  今日は「いいお天気」だけど、  もう、梅雨も近い。  木陰にはいっていても、少しあせばんでくるくらいの気候なんだ。  あんなお面をかぶっていて、暑くは感じないのだろうか? 「ねえ!」  と、あたしはせいいっぱい明るい声で呼びかけて、遊んでいるヒロと「お面の子」に近づいて行った。 「暑いでしょう?アイス、お姉ちゃんごちそうしてあげるから、コンビニでも行かない?」    ヒロはちょっと戸惑ったようにあたしを見上げ、それからほほ笑んだ。  ひさしぶりにみるヒロの笑顔のような気がした。
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