第一章  陽炎(かげろう)  

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「うん。ありがとう、おねえちゃん」 「鉄腕アトム君もいっしょにきなさい。ごちそうしてあげる」  と、あたしは「お面の子」も誘った。 「あ!いいね」  ヒロの顔がかがやいた。  お面の子の方を向いて、笑いかけた。 「ねえ、おにいちゃんも、いっしょにアイス食べよう!」 「お面の子」は、そのヒロの誘いにも何も応じる様子は、なかった。  少しだけ静かな気づまりな時間が流れた。 「遠慮(えんりょ)しないでいいのよ」  あたしは出来る限り、親しみをこめて言った。 「いつもヒロと仲良くしてくれているんだし」  あたしは一歩、少年の方へ踏み出した。      少年の影の中に、あたしの足がはいった。  その瞬間に、「ひんやり」した冷気のようなものが、あたしの体の中に広がっていった。
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