第一章  陽炎(かげろう)  

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 バサバサ!  と、突然、頭上で音がした。      あたしは飛び上るほど驚いて、天空を見上げた。  ただそれは、鳥が飛び立つ音だった。  目を元に戻したとき、すでに少年はいなかった。  ヒロが公園の出口の方へ目を、やっていた。  その目はうるんでいるように見えた。  あたしもそちらに目をやった。  足早に去っていく少年の後ろ姿があった。  背の小さな「お面の子」の姿は、すぐに見えなくなった。  公園の出口に通じる道はいったんゆるやかに登り、中途から下り坂になる。  門は見えない。  だから公園から出ていく彼の姿は、見えなくても当然なのだが、なんだか初夏に立つ陽炎(かげろう)の中に溶けて消えてしまったように感じた。 (第二章に続く)
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