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しばらくは道を真っすぐ走ればいいので、僕は一旦地図から目を外し世間話を先輩にもちかけた。
「先輩もゴミを出した事あるんですか?」
「ん~?あるよ。一回だけな。何て言うか、申し訳ない気持ちでいっぱいだったな」
ゴミを出した経験の無い僕からしたら、“何だ、そんな感じか”と思ってしまった。
「でもぉ、やっぱり何か他の感情もありませんか?ゴミになる前はずっと家にあったんですし」
「そうだなぁ、そりゃあ少しは寂しい気持ちになったけど、仕方ないかなぁって。だってよ、国で決められた事だからな。使えなくなったゴミは処分するって」
そう、国はついに決断したのだ。使えなくなったゴミは処分しないといけないと……
もしも処分しなかった場合、所有者は罰せられてしまう。
「もしかして、先輩自身が作ったゴミを先輩が回収して処分したんですか?」
「おう、もちろん。さすがに回収する時はすごく切なくなったな」
「そりゃそうでしょうね……」
「それより、道は大丈夫か?」
ハッとなって僕は地図を見た。
「あっ!ローソンのとこを左です!」
「おいおい頼むぞ」
危なかった……もう少しで遠回りになるとこだった。
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