#-087 ゴミ

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しばらくは道を真っすぐ走ればいいので、僕は一旦地図から目を外し世間話を先輩にもちかけた。 「先輩もゴミを出した事あるんですか?」 「ん~?あるよ。一回だけな。何て言うか、申し訳ない気持ちでいっぱいだったな」 ゴミを出した経験の無い僕からしたら、“何だ、そんな感じか”と思ってしまった。 「でもぉ、やっぱり何か他の感情もありませんか?ゴミになる前はずっと家にあったんですし」 「そうだなぁ、そりゃあ少しは寂しい気持ちになったけど、仕方ないかなぁって。だってよ、国で決められた事だからな。使えなくなったゴミは処分するって」 そう、国はついに決断したのだ。使えなくなったゴミは処分しないといけないと…… もしも処分しなかった場合、所有者は罰せられてしまう。 「もしかして、先輩自身が作ったゴミを先輩が回収して処分したんですか?」 「おう、もちろん。さすがに回収する時はすごく切なくなったな」 「そりゃそうでしょうね……」 「それより、道は大丈夫か?」 ハッとなって僕は地図を見た。 「あっ!ローソンのとこを左です!」 「おいおい頼むぞ」 危なかった……もう少しで遠回りになるとこだった。
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