#-100 グシャ

2/4
3199人が本棚に入れています
本棚に追加
/502ページ
「俺はさ、特別な人間なんだって、そう思ってたんよ」 仕事の休憩中に、同僚の山下はそう言ってきた。 ビルの四階、非常階段の所で一緒に弁当を食べている時の事だった。 「思ってたって事は、自分は特別な人間じゃないと?」 とりあえずは会話を成立させるために、そう返してみた。すると山下は空を見上げて言った。 「うん。俺には立派な羽があって、羽ばたけばどこへでも飛んで行ける……。そう思ってたんよ」 羽か…… 山下は何か悩んでいるのだろうか?そんなに彼の事は知らないし、あまり深入りしたくはないが、とりあえず聞いてみた。 「何かあったのか?俺で良けりゃ相談に乗るけど?」 大したアドバイスもできないが、とりあえずは言っといた方がいいだろうと思い、そう言うと、山下はニコリと笑い、お礼を言った。 「ありがとう。でも、もう俺には羽が無いってわかったから……小さい頃から憧れてきた空を、俺は飛べないってわかったから……」 はぁ…なんか山下の言う事がよくわからないな…… いったい何があったんだ?何でそんな……哀しい顔をするんだ?
/502ページ

最初のコメントを投稿しよう!