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「要するに、夢というか、目標を失ったんだな?だから悩んでる」
俺の導き出した答えはどうやら正解らしく、山下はコクりと頷いた。
「誰だって飛べると思ってたんよ。空高く……だけど、それは間違いだったんよ。飛べるのは羽がある者だけ、選ばれた者だけだった……」
あぁもう面倒臭いな
「いったい何を目指してたか知らないけど、諦めなけりゃいいんじゃない?そうすりゃいつの日か……」
「……」
「努力はいつかきっと報われる。そう信じてやっていきゃいいんじゃないかな?諦めちゃ駄目なんだよ。諦めず頑張れば……そう!頑張れよ!まだまだやれるって!」
とりあえずはまぁ励ましておけばいいだろうと思って言ったのだが、山下から驚くべき言葉が返ってきた。
「黙れよ!!何も知らないくせに!!俺はな、お前みたいに毎日何も考えず生きてたわけじゃないんだ!!毎日毎日頑張って頑張って……それでも……」
そりゃ俺には夢や目標なんて無いし、何も考えずにとりあえず楽しい事やってりゃいいかなぁって感じで生きてるけど、こんな言われ方をしたらムカつくな。
「じゃあいつまでも悩んでれば?いつまでも考えて生きりゃいいじゃん。人がせっかく励ましてやろうとしたのに、ムカつく。そんなんだから、飛べなかったんだよ」
俺は弁当を途中で食べるのを止め、ビルの中へと入った。
すると、カンカンカンと階段を駆け上がる音がして、窓から非常階段を覗いたが、山下の姿は無かった。
その時だ。一瞬何かが目の前を過ぎり、その直後にビル内にいる俺にもハッキリと聞こえる音で、それは聞こえた。
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