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「知ってます?東京じゃあ、毎日多くのゴミが処分されてるらしいですよ」
僕はトラックの助手席に乗り、運転席に座る先輩に言った。
「おぉ、東京に限らず、都会は人が多いからなぁ。その分……それより、ちゃんと地図は持ったか?ナビゲーション頼むぜ」
「はい、了解っす」
地図をバッと広げ、僕は目的地を確認した。
「えーっと、今日回収するゴミ達は何件だっけ?」
先輩がそう言うので、ポケットから回収リストを取り出し目を通した。
「いち…に……今日はたったの五件ですね。それでも疲れるでしょうが……」
「はは、仕方ねーよ。仕事なんだし。それに、早くゴミを処分しないと腐って周りに迷惑をかけるからな」
先輩はエンジンをかけ、トラックは目的地に向かい走り出した。僕は横で、最短ルートを探しながら指示を出す。
「えーっと、次の信号を右です」
「おう。しかし今日はアチィな……」
「そうっスね……」
「さっさとゴミを回収して帰ろうぜ」
「はい。あっ、突き当たりを左です」
この国にはゴミが溢れている。仕方の無い事なのだ。人が増えすぎたから、その分ゴミも増えてしまった。誰にも止める事はできないし、止める権利もない。それに、もしかしたら僕自身もゴミを作ってしまうかもしれないから
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