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「おい!その女を黙らせろ!」
僕は先輩に言われるがまま女性を押さえ込み、説得をした。
「いいですか奥さん?!息子さんはもうゴミなんです!国から判決されたゴミなんですよ!」
「だけど……!マナブちゃんはあたしがお腹を痛めて産んだ子供よ!」
「奥さん!これは仕方の無い事なんです!息子さん……いや、このゴミはですね。二十年間も無職でアルバイトも何もしないゴミなんですよ!国の役にも立たない、生きてても仕方が無い!だから処分するしかないんです!」
「嫌よ!だって、どんなに役に立たなくても、マナブちゃんも人間で……生きる権利ぐらいあるはずよ!」
そう、例えどんなゴミでも、生きる権利は存在するはずなのだ。だけど、国はその権利を奪った。
「気持ちはわかるよ」
その時だ、突然先輩がそう言った。
「俺にもな、ちょうど、こいつぐらいの息子がいた。自分の息子が回収候補リストに載った時、正直驚いたし、息子に生きる権利は無いのかと思った」
「だったらどうして?!」
女性はゴミを抱き抱える先輩に聞き返した。
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