#-087 ゴミ

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「息子はな、中学生の時に虐められていたんだ。そして、高校生になってから不登校となって、それから高校を中退し、引きこもりとなった」 先輩は必死に何かを堪えながら喋り続ける。 「回収候補リストに載って、このままじゃ息子は処分されてしまう。そう思ってた時、息子が寝ている間に部屋に入って日記を見たんだ。息子の悩みを解決するヒントは無いかと、日記を見た」 女性は黙り込み、僕も黙って聞いていた。 「するとな、日記には“死にたい”って文字がビッシリと書かれていたんだ。手首にはリストカットの跡があるし、首吊りのロープまで用意してあった」 先輩はついに涙を堪えきれず泣き出した。 「本当は息子だって生きたかったんだ。だから自殺未遂を繰り返していた。だけど、こんな世の中じゃ……息子には苦痛しか残らないだろ?心の優しい子だったよ。だけど弱かった。弱い者はこの国じゃ生きていけないんだ!!だから俺は……息子には悪いと思ったけど……」 先輩が“申し訳ない気持ち”と言っていたのは、もしかしたら息子さんに対してだったのかもしれない……
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