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そしてチフユは眠りについた。心の傷を癒す為に。さながら、冬眠のように。
「それで、あんたはどうするのよ」
「何が?」
「ナツとこれからどう接するのか」
「変わりゃしねぇよ、んなもん」
ライは呆れたような声を出した。
「別にあいつの中にもう一人いたところで、あいつが変わるわけじゃねぇしな」
「でも、もしこの先チフユがもっと出てくるようになったら」
「元々計画性もあまりない旅だ。一人増えたところで変わんねぇよ」
「あんたらしい」
ハルカの笑い声が聞こえた。つられてライも笑う。
「じゃ、もう切るぜ」
「なるべく早く帰って来なさいよ」
「保証しかねる」
楽しげな声のまま会話は終了した。
「参ったなぁ……」
直後にライは溜め息をついた。さっきまでの雰囲気が嘘のように。
いや、嘘なのだ。最初っから。
一人増えたところで変わらない?それで終わるわけがない。
ライはそう推測していた。
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