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「今は退く。あの女と関係があったら容赦はしないが、出来れば戦いたくない男だ」
男達は魔車に乗り込み、来た道を引き返していった。
ライは悩んでいた。正直、これ以上あの女に関わりたくない。厄介なことになるのが目に見えているからだ。
しかし、見捨てたくないと思っているのもまた事実だった。
判断するには情報が足りなかった。とりあえずは面倒を見ることにしたが。
イリカに体を拭かれた女はきれいになっていた。さっきはしっかり見えていなかった顔もはっきり見える。
年齢はライと変わらないように見える。髪は茶色でセミロングと言える長さだ。
「どうしましょう。目を覚ましません」
「このまま運ぶしかねーだ…ろっと!」
おんぶをして運ぼうとすると、イリカがジーと見てきた。
「どうした?」
「いえ、母さんからの教えを思い出して」
「何?」
天才とも言えるほどの頭脳を持った人からの教えだ。聞いておくことにしよう。
「同年代の異性はお姫様だっこで運ぶのが普通なんでしょう?」
「イリカ、そこで待ってろ。ちょっとイーツまで行ってくる」
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