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そうは言ったものの、さっきの男達に見つからないようにしなければならない。
顔は俯いているから見えないとしても服装、髪型まで同じだと流石に誤魔化せない。
「イリカ。お前髪止めのゴムとかピン持ってないか?」
「カチューシャならあります」
「じゃあそれで」
イリカからカチューシャを借り、女の前髪をかきあげる。
「…………」
「どうしたんですか?」
「い、いや、なんでもない!」
「嘘ですね。もう一度聞きます。どうしたんですか?」
これは知っていても嘘をつかざるをえなかった。言えるわけがない。
顔まで好みだったから思わず見とれてしまったなんて。
「……大人の秘密ってやつさ」
「ライ兄さんまだ17才じゃないですか」
「小学生にはわからない世界がここにはあるんだよ」
嘘は言っていない。イリカに隠し事をしながら話すのは本当に疲れる。
「イセンまでどれぐらいだ?」
「一時間もあればつくと思います」
そのくらいの距離ならもつ。
「掴まってろ。飛ぶ」
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