隠れ家の町

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「……降ろせ」 背後から声が聞こえた。正確には背中から、だったが。 「お目覚めかい、お姫様」 「お姫様、か。的を得ていない表現だ」 男らしい振る舞いを見せる女は地面に立ち、ライの腰にあるパング刀を自分の腰につけ直した。 「戦力に数えて構わないな?」 「わたし一人で十分だ」 刀を抜く。片手で見たこともない構えを取った。 「嘗めるなよ、ガキが」 五人がかりで一斉に襲いかかる。ヒュン、と音が素早く三回聞こえた。 瞬間、五人全員の体が真っ二つになった。血が吹き出し、辺りが血に染まる。 「……何をやっている?」 「ガキに衝撃的な光景を見せたくないんでな」 イリカは気絶していた。ライに手刀で眠らされていた。 女は周りを見渡した。 「ここはイセンか?」 「そうだ」 「そうか。わたしは、帰ってきたのか」 刀の血を払い納刀する。そしてそのままイセンの町に入っていく。 「名前くらいは、言ってくれてもいいんじゃないか?」
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