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「本当に怪我してないんですね?」
「してねぇし、させてねぇよ」
問い詰めてくるフレイルに上裸を見せつける。出ていかせることに諦めたようだ。
「……見たところ外傷はありませんからとりあえずは信じておきましょう」
フレイルはライが脱ぎ捨てた制服を丁寧に回収していく。その作業をしながら呟いた。
「ライバード様。質問をしてもいいですか?」
「何だ?」
「強い魔闘士を倒すにはどうすればいいと思いますか?」
「もっと強くなればいい」
すごい的外れの答えだった。
「そうではなくて、戦略的な方法です」
「それなら距離をとればいい。そこで魔法撃ってればまず負けないだろ」
「勝つ方法を聞いているのです」
「今日はやけに聞いてくるな…」
ライは少しの間、考え込む。
「……弱点をつく、とか?」
「弱点、ですか?」
非常に曖昧な答えになってしまった気がする。しかしフレイルはそれに納得したのか部屋を出ていってしまった。
「何だったんだ、あいつ?」
こうしてライバード・スカージャックの慌ただしい一日は終わったのだった。
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