prologue

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 彼は一学年上(高二)の先輩で、同じ学校に通っているらしかった。  カラオケに参加していたメンバーのなかで男子は俺とシュン先輩の二人だけだった。  シュン先輩の第一印象と言えば…、正直なところはっきりと覚えていない。いや、悪い印象ではなく、良い印象だったのは覚えているのだが、どういう意味で『良い』だったのかがわからない。  『男の人が好きだ』とは書いたが、まだ実際に特定の人を好きになったことはなかった。  だから…、きっとそれは恋愛対象的な『良い』ではなかったと思う。仮に、それが恋愛対象的な『良い』だったとしても、少なくともその時の自分には分からなかった。 駅からカラオケまで向かう間、人見知りがちな俺は…、まぁ、同じ趣味(ヲタク)を持っているからだろう、初対面でもわりと楽しく話していた。シュン先輩とも。 ただ、その時点では、シュン先輩も五人の先輩達のなかの一人でしかなかった。
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