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見上げるとそこには、昔の面影のある愛里姉ちゃんが立って居た。
「Σ愛里姉ちゃん?!…どうしてこの町に?」
「仕事の都合でね…。今はこの町で仕事してるの♪…要君も元気そうね♪」
愛里姉ちゃんは珈琲を頼むと、俺の前の席に腰を下ろした。
「あれから10年か…。あの時は来てくれてありがとう…高熱であの後、三日間寝込んだんだって?…本当に無茶するんだから…」
呆れた口調で愛里姉ちゃんはそう言った。
「どうしても…ちゃんと愛里姉ちゃんに伝えたい事があったから…」
まるで店内に流れる曲に後押しされるように、俺は意を決して話し始めた。
「……伝えたい事?」
「…うん…俺…愛里姉ちゃんが好きだったんだ。」
やっと言い出せた思いに俺はどこかホッとしていた。
10年以上の片思いだった。
あの日伝え切れずにずっと燻った思いは、次の恋愛へと進む事も出来ず、ただただ愛里姉ちゃんだけを思い続けていた。
もう会う事が無いとさえ思っていても…。
幸せに暮らしているだろうから、諦めるべきだと考えても…。
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