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愛里姉ちゃんは一瞬照れ臭そうに微笑み、その後で少しだけムッとしながら一言だけ呟いた。
「……『だった』…なの?」
「……え?」
呆気に取られた俺に、愛里姉ちゃんはちょっとだけ睨むように見つめた。
「だ~か~らっ!!…『だった』って事は過去形でしょ?……今は…その…違うって事?」
「え?いや…過去形って…訳じゃ…」
『こういう時の愛里姉ちゃんには昔から弱いんだよな…』
そんな事を思いながら、俺はじっと愛里姉ちゃんを見つめ返した。
「なι…何?ι」
「…今もだよ。ずっと…ずっと…愛里姉ちゃんしか思ってないよ。」
真剣な告白に愛里姉ちゃんは真っ赤になって、俺と周りのお客をちらちらと見始めた。
「あ…ありがとう…。…あの…あのね…あたしもずっと要君が…好きだから…。」
漸くあの日の映画の女優のように微笑みを浮かべると、愛里姉ちゃんは出て来た珈琲にミルクを流し入れた。
離れていた時間を埋めるように、俺達はあの曲に合わせていろんな話をした。
今は看護師として市内の病院で働いてる事や、看病していたおじいちゃんが亡くなった事も知った。
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