Memory1 特別な君

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テストにむけて、放課後の日課となった勉強会。 運命のテストまであと数日。 この日課に休みはない。 「佑吏~。 英語の課題提出をすっかり忘れててさ、これからダッシュで行ってくる! 先に学習室まで行ってね!」 「ああ、また後でな。」 慌てて佑吏にそう伝えると、梨恩は教室を飛び出した。 レポートの提出期限オーバーで、追加課題など出されてはたまったものじゃない。 佑吏を振り返ることもなく、一目散に駆けて行く梨恩。 「待ってるからな…。」 廊下の曲がり角を通過し姿の見えなくなった梨恩に向かって、佑吏は愛おしむように呟いた。 一足先に勉強会の会場である学習室に向かおうとした佑吏。 しかしその足は、すぐに止められることになる。 「あのっ、蘇芳君!」 鞄を片手に歩き始めた佑吏を引き止める声があった。 振り返るとそこには、同じクラスの女子で、会話をした記憶さえないような生徒が立っている。 「何?」 ぶっきらぼうに答える佑吏。 一方の女子生徒は顔を真っ赤にして、どう見ても緊張を表にしていた。
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