プロローグ

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錬金術。 それは、金に飢えた亡者が、あるいはよこしまな欲を持った愚者が、何十年もの時間をかけ大成した、一種の魔法である。 人々は信じた。 錬金術には、希望があると。 錬金術には、未来があると。 それが、大きな、本当に大きな勘違いとも知れずに。 錬金術は、希望はあるけれども、土を金に換えることは出来ない。 錬金術は、未来はあるけれども、不老不死の薬は作れない。 錬金術が作り出したものは、いや、錬金術と称した禁忌の秘術が生んだものは、圧倒的な暴力と、強大な欲だった。 土を金に換えるために、錬金術師は悪魔と契約した。 不老不死の薬を作るために、錬金術師は悪魔と契約した。 それが、素晴らしいことだと勘違いしながら。
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