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初めに言っておくがトミーの運動神経は良い方である。
臆病な性格の彼にはびびりの運動音痴というイメージがピッタリと当てはまっているように見えるが実はそうではない。
彼の家系は代々、アスリート一家であり皆運動神経が抜群なのだ。
それはトミーも例外ではなく良い運動センスの持ち主なのだが、その性格故か己の力をセーブしてしまっている。
ただ、そんな彼にもそのリミッターが外れる時がある。
それは……
トミー
「ンNOォォォォゥゥゥッ!?」
御札が自分目掛けて飛んできたのを確認したトミーは上半身を仰け反る……それ以上曲げ、ブリッジする形となり上手く御札を避ける結果となった。
霊夢
「っ、あの体勢から弾幕を!」
そう、このような生命の危機が迫る場合稀に解除されるのである。
トミーはブリッジした状態から更に足を蹴り上げそのまま土下座する形となった。
霊夢
「土下座……? いや、そんなのじゃない! あれは…」
ふと、妖怪退治をしていた時期に遭遇した四足歩行の妖怪を思い出していた。
四足歩行生物特有の構え…
まさにトミーの今の形は突進前の妖怪の姿と酷似していた。
そしてーーーーー動く!
トミーはクラウチングスタートのポーズから一気に霊夢との距離を詰める。
すかさず弾幕を展開するが、トミーは走っている状態から跳躍し霊夢の飛ばした弾幕を避けーーーーー
トミー
「スイマセンでしたァーーーー!!」
跳躍した勢いのまま霊夢の目の前で止まり、綺麗なそれは本当に綺麗な土下座を見せた。
端から見たら異常な光景。
完全に霊夢が有利な立ち位置に見えるだろう……しかし。
霊夢は知っている。
自身の弾幕を全て回避している事実
自身の親友を打破している事実
何度も魅せる攻めの構え
霊夢はトミーの行動に恐怖を覚える…
今も、そうだ。
今のこの体勢も……
『お前をいつでも倒せる』
そう言わんばりの覇気ッッ
この距離、速さ、タイミング……回避は不可能。
様々な感情が霊夢に押し寄せ、それは初めて味わう恐怖となり彼女は生まれて初めて全てを『受け入れ(諦める)』目を閉じその時を待った。
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