序章

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翌日の朝。 学制服に着替えて、1階に降りる。 リビングに足を踏み入れると、食卓テーブルには夏海と、母の春香(ハルカ)、父の冬真(トウマ)が座って朝飯を取っていた。 家族四人の名前で春夏秋冬が出来上がっていることは、近所で意外と有名だ。 おはよう、と小さく言うと、三人も元気に返してくれた。 「食パン焼く?」 母さんがココアをすすりながら俺に問うた。 「自分でやるからいいよ」 「そ♪」 数分後、焼いた食パンにジャムを適当に塗って食卓についた俺を見た父さんが、 「めずらしいな秋斗。目の下にクマなんか作って」 笑いながら言った。 「夏海の音楽が案の定うるさくて眠れなかった」 「あら、ごめんあそばせ」 隣の夏海が声色を変えて高らかに笑った。 「行ってきます」 「行ってっきま~す!」 「行ってらっしゃい、気をつけてね」 学生の俺と夏海は家を出て、同じ道を歩いた。 夏海の中学も俺の高校も、家から約徒歩5分と、近い。 「寒いねー寒いよー」 はーっ、と白い息を吐きながら、夏海が言った。 「冬ですから」 「今年は異常ね。寒さが違う」 「何が違うんだよ」 「芯から冷える!」 「はいはい……ふわあ」 「眠そうだねお兄さん、何かあった?」 「ベタすぎて"誰のせいだと思ってんだよ"ともツッコむ気になんねぇ」 「は!見て!でっかいつらら~!」 「聞け」
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