自己紹介

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 俺だって魔力持ちとして生きてきた以上、生死の境を彷徨ったのも一度や二度じゃない。  意地もプライドも人並みには持っている。一般人より戦闘力が高いだけで良い気になってる馬鹿共に負けるつもりはない。  生き抜く術なんてのは実践の中で幾つも身につけてきた。こちとらおねしょ卒業したころからこの世界で戦わされてんだ。 「普通じゃ笑えない?」  これでも、プロの端くれ。 「当たり前だ。もう忘れたのか?」  引き出しの数と質は一流と呼ばれる面々にさえ引けを取らない。 「実力も経験値もお前らじゃ及びもつかない」  たとえば。 「最強の魔法使い様なんだぜ?」  ハッタリとか。 side change 九条  尾行の方がまだマシと言ったのは私ですが、ここまで下手だと流石に滅入ります。  しかも、昨日完全に魔力を使いきったので人数が多いですね。  美容室の予約が今日じゃなかったら素直に家で待機したんですが……。  悠美ちゃんが居たら護衛を兼ねて横を歩いて貰ってたんですけどね。  筋肉質なルーキー数名に横を歩かれるのはちょっと嫌ですし。彼ら何だか目線が卑猥ですから。  自分の家の事も私が最近モデルを始めたせいで露出が増えてるのも自覚はしています。  悪いのは私とはいえ。  彼らもここまで尾行が下手だと今後色々大変でしょう。しかたないですね、ここは私がひと肌脱ぎます。  尾行を全部撒いてやる。  人の多い道を選んで歩くだけで、流れる人ごみの中で背中に刺さる視線が一つづつ消えていきます。  普段は、田中さんを筆頭に実力者が護衛を務めるので今日しか出来ないやり方です。  今日は都合良く皆が出払っていたお陰でルーキー大量投入。質を量でごまかしていますからね、私でも簡単に撒けます。  人生で数度しか経験のない一人での外食。  大量の服の購入(余りに多かったので郵送してもらった)。  そして噂に聞く漫画喫茶で仮眠と読書。  腕時計を確認すると、もうすぐ二時です。少しはしゃぎすぎたようです。  私が家に帰らないと尾行してた人たちはまだ捜索させられているかもしれません。  初めての体験で浮足立ち、他人の事を全く考える事が出来て居ませんでした。  敢えて置いてきた携帯電話にお父さんとお母さんからの着信が五万と来ているのは間違いないです。 「九条さんですよね?」  後ろを振り向く。  三人の男が居た。
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