ハッタリ

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 対策は早急に。  甘い誘惑を蹴散らすのに煙草は最適だ。多少現実的な思考を取り戻した。 「言っとくけど俺に男色の気はねえぞ」  三人揃って叩き潰すなんて邪な考えと同時に、煙を吐き出す。 「皮肉を真に受けんじゃねえ、馬鹿野郎」  木田がカエルの様な顔を醜く歪めた。 「なんだ、真面目に後ろの貞操の心配しちまったよ」  適当な言葉を並べてみるものの、背中には冷汗が流れた。  戦闘力に劣るであろう自分ができることを必死に考える。煙草で冷静になった結果、最も現実的な答えが敗北で有る事を実感した。  右手にあるのは火の付いた煙草と、少し特殊なシルバーのライター。  左手には酒瓶と、煙草と、つまみ。  心許ないが、どうにかできそうな気配は有る。愚策としか言いようがない。決行しても良いものか。  ――ダメでもともと、だな。 「ああ、木田君。教えてやるよ、何で魔力量を自慢しない方がいいかを」  煙草を大きく吸い込む。  先端がジリジリと炭になって行く。  俺自身、内心でこんな感じにジリジリと神経をすり減らしている。  煙を肺に入れ、そのまま吐き出す。ワッカでも作ってやろうと思ったが、煙は風に流さた。  代わりという訳でもないが、馬鹿で挑発な木田君に挑発の言葉を一息で届ける事に。 「そこの女にも劣るお前の魔力量なんてのは、中途半端過ぎて自慢するには余りに情けないって言いたかったんだよ」  小学生の様な挑発の台詞が。  「口は慎むべきだ。どう見てもお前の方が年下だろ? だよな? 年下だよな? 敬うべきだろ年上を。適当な嘘で喧嘩を売るのは良くない」  丁度いいのが木田君なんだよね。  この反応からして、女も魔力持ちで有ると見て間違いなさそうだ。 「図星付かれて、年功序列を盾に出すなんて。情けない。情けないぞ木田君」  いくらなんでも、腕に覚えの有りそうな木田が目の前の女よりも弱いって事は無いだろう。  この女。恐らくは、高名な魔力持ちの家系の娘。  財界や政界にも顔の利く魔力持ちってのは多い。  時代の流れに沿って、魔力の使用を最低限まで自重する、穏健派の家系の娘。  狙う理由も狙われる理由も一気に辻褄が合う。  大方この予想で間違いないだろう。  
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