爆弾魔

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 市原は俺のその辺りの対応に気付いてかようやく話を纏め始めた。 「無駄話は後日またやれ。とりあえず話を纏めるとお前は魔力持ち用の法律の穴を抜けるような手法と、化け物ライターでこいつらをとっちめた」  人聞きの悪い言い方をすれば、そうなる。  釈然としない部分は有るが俺は一応頷き返した。 「少々やり過ぎ感はあるが九条の救出、いや、救命か。そんな立派な仕事したんだ。この件はもみ消される。お咎めもない」  市原は煙草を大きく吸い、煙を吐く。  それなりの長さの残った煙草を地面に投げ捨てた。  公務員にあるまじき行為で はあるが、時間の都合上注意するのもあほらしい。 「さらに十中八九、もし記憶操作が必要なら大塚や伊藤クラスの記憶操作系の能力者が出る事になるだろう」 「いや、あいつらは三人とも魔力持ちだったみたいだから大塚さん達の出番は無いと思う」 「馬鹿言え、あいつらは俺かこの地区の管理者が対応する。大塚達は万が一の目撃者対策に決まってるだろ」  ああ、成程。と出かかったが寸でのところで呑みこんだ。  馬鹿にされそうな気がした。 「ここって管理者椎名さんだろ? あいつら終わったな」 「……何されるかは見当も付きませんよね」  今まで黙っていた九条が会話に加わってきた。椎名さんに余程いじめられたに違いない。 「また話が逸れ始めてる」 「じゃあ、戻してくれ」 「そうだな、とりあえず平次は帰って良い。九条は俺と一緒にあいつら置いてきたら謝罪回り」  ええ、と九条が悲鳴を上げたが、市原の耳がその声を拾う事は無かった。 「平次、お前も明日か明後日説教な」 「ええ!?」 「後、山崎と会うなら今日の事喋るなよ。面倒だから」 「俺は喋らねえけど、大塚さん達早く呼ばないと一般市民からすっぱ抜かれんぞ」  いたちの最後っ屁で皮肉を零し、市原達の横を通り過ぎた。  ――デジャブが起きる。  公園内の気温が確実に数度下がり、巨大な爆発音が響く。  滑り台から滑る部分が完全に消え失せている。 「安心しろ。お前には保険を掛けただけだ。あいつが情報を掴んでも紙面にそれが躍る事は一生あり得ない」  悲惨な景色となった公園からも読み取れる、その特異な魔力の質から付いたあだ名は爆弾魔。  とりあえず市原が俺の発言にキレている様なので、普段より少し早い歩調で俺は公園を後にした。  脱力感が半端じゃ無い。  
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