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途中で自分の発言に周りが引いている事を自覚したらしい仁さん。
あやふやな話の終わり方は妙に想像力を掻き立てられ想像力がよく働く。
「そういえば最近集会でお兄さんに会ったわよ。ほら、和平(かずひら)君」
麗香さんの少し無理のあるフォロー。
「ああ、彼は素晴らしい。チカラだけなら僕や誠さんはとうに超えてるだろ」
市原と田中さん、果てはヒトミまでその唐突な話題変更には対応できていない。
「何と言っても、あの異能。久々に腹の底から恐怖を感じたね。もしも彼が敵になったら僕はきっと直接戦闘は回避する、戦車何台分の戦闘力だ? 正々堂々なんて馬鹿げた事、試す暇も無い」
親父の『異能持ち』としての技術は日本の最高戦力の一角としては必要十分。
ただ、戦闘に向いた異能では無いので戦闘面での性能は戦闘特化型の兄貴には格段に見劣りする。
まあ、俺の実力からすれば、彼らの実力を正確に測る事は不可能。
だからこのパワーバランスは事情通の山崎やそれを生業とする情報屋の友人からの受け売りだ。
「君ほどのチカラが有れば、協会の序列も随分良いところまで持って行けるだろうし、次男が当主の特例も有り得たろうが……」
俺のチカラとやらはいつ確認されたのか?
どうにもそこに突っ込む気にはなれない。間違いなく地雷だ。
「まあ、兄貴がアレじゃそれは有り得ませんよ」
「確かに和平君の実力は日本でも五指に入る。その長男を差し置いて司馬の当主に、というのは色々なところから圧力が掛かりそうだ」
仁さんはそう言って苦笑した。
「父も兄も希少価値の高い異能を所持。祖母は風変わりな魔術師。司馬はホントに面白い人材に溢れてるな」
「爺さんは普通ですよ。ただの魔術師です」
幼稚にも少しムッとしながら言葉を返す。
ここで俺は普通です、と返さなかったのは話を掘り下げた場合、俺の実力不足が露呈してしまうからだ。
B級ライセンス――上位ともなると、大ざっぱな評価で、拳銃を持った人間一人。ないしは手に武器を持った人間三人を相手に完勝できるレベル。
その上に準A級。更に上にA級が存在。
俺の見込みでは仁さんの俺に対しての評価はA級。
司馬のフィルターを挟む以上ベテランの目利きが鈍るのを責める事は出来ないが、いくらなんでも俺にA級並の評価は荷が勝ち過ぎる。
B級ですら危ういというのに。
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