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少し前の私なら多分、こんな風に落ち着いて悟と向き合うことはできなかったと思う。
これもすべてユキと出会い結婚して今の生活があるからこそ、悟とのことも過去として落ち着いて見れるんだと思う。
そうじゃなかったら、あんな別れ方をして冷静で居られるはずがない。
現に私はユキと出会うまで約２年近く悟との事を引きづった。
正直、ユキと出会った頃は悟との事を思い出したことは何度かある。
でも気づくといつの間にか悟のことは消えユキでいっぱいになっていた。
一時期は立ち直ることも忘れることもできないと思っていたのに不思議なものだ。
まさか悟以上に想える相手に出会い、そして幸せな日を過ごせる日が来るなんてあの頃の私には想像もできなかった。
あんなに辛かった悟との事を本人を目の前にしても動じることなく懐かしく思えるということは、それだけ今が幸せなんだと改めて実感させられた。
胸がじんわりと温かくなるのを感じながら、左手の薬指に光る指輪を包むように握り締めた。
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