疑心

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 きっとタバコが出てきたという事実だけを見て、誰も銘柄まで見ないと思ったに違いない。だから手短にあった自分のタバコを、持ち物検査に乗じてこれ幸いと入れたのだろう。  そうだとしたらあまりに不条理である。いくら自分が嫌いだからと言って、そこまでされる覚えは亜子にはない。  再び湧き起こる悔しさに、一瞬涙が滲む。亜子はぐっと堪え、折れそうな心を奮い立たせて職員室を後にする。  まだ担任が犯人とは決まったわけではない。限りなく黒に近いグレー。  知らなければ必要以上に勘ぐらずに済んだのに、見てしまった以上疑わずにはいられない。真実がどこにあるのか亜子にはわからない。だとしても担任を疑いの眼差しで捉えた亜子は、ひたすら答えのない悩乱を繰り返すしかなかった。
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