2010、夏

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「さっきの人はハンドル回してたよ❗」 ユイの一言から、ようやく玉が打ち出され…… 弧を描いて盤面反対側を通り、下の穴に消えていった。 「……強過ぎたんじゃないか?」 今度は弱々しく打ち出された玉が、盤面に出現する事無く戻り、下皿に吐き出された。 「弱過ぎたね~」 「む、難しいな」 何度か失敗を繰り返すと、ようやく盤面に玉が踊り出した。 そして、ようやくやっとついに、チャッカーに玉が飛び込んだ。 「わ、動いた❗」 「この穴に入ると、動くんだ……」 『リーチ❗』 「あ、リーチだって❗当たるかな」 何事もなく、再始動。 「ハズレ?」 「みたいね~」 やがて。 次第にコツが掴めてきたリツ、保留などお構いなしにガンガン回すが、なかなか当たらない。 ただ、玉の追加はムギが頃合いよくボタンを押している為、全然無くならない。 「……飽きた」 リツ、ついに席を立つ。 脇で見ていたはずのユイは、ホールの宣伝用モニターを見に行っていた。 「じゃあ、わたしがやってみていい?」 ムギがリツに提案すると、 「おお、ムギ頑張れ❗」 と、リツは応援に回る。 選手交代。ムギ、人生初のパチンコ。 その1投目。 『リーチ❗』
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