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笑った私をルシファーが眉を顰めて見るものだから、
「殺人鬼も無垢な少女の前では形無しね」
と、静かに笑ってブランケットをかけた。
エルは相変わらず無防備な顔で眠ったままルシファーにもたれ掛かっている。
殺人鬼を助けたときはこんな少女と暮らす事になるなんて思いもしなかった。
長いまつ毛や髪の毛、僅かに違う顔立ちは母親の面影を残している。
義母達に刷り込まれた為に嫌っていたそれら(恐らく母親も)は僅かに当たる日の光を浴びて美しかった。
「どうした、レディ・リリス?」
動きも、喋りもしない私に心配そうな声がかけられる。
何でもない、というように私は首を横に振ってキッチンに向かった。
「お昼を作るからそれまでエルを起こしちゃダメよ、ルシファー」
悪戯っぽく笑った私に、
困ったようにルシファーは苦笑して「あぁ」と頷く。
これではどちらが年上だか分からないななんて思いながら、
今日は暑いから冷製パスタにしようとお昼ご飯の支度を始めたのだった。
***END***
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