第三章  同病棟

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 その「患者さん」も、新館C号棟2階の「女性部屋」に、はいっていたのです。    奇妙なもので・・・  その日から、「その患者さん」と、ときどき「口をきく」ようになりました。 「水商売関係」の方かな?  と、思ったのですが、仕事は「タクシー・ドライバー」ということでした。  今は、女性タクシー・ドライバーは珍しくはありません。      う~ん 「覚せい剤依存症」  で、タクシー・ドライバーは「危ないなあ」と思ったのですが、それは黙っていました。    そのかわり、 「プロ・ドライバーだと、健康診断、厳しいんじゃないですか?」  と、訊いてみました。 「飲酒の方が、厳しいわね。覚せい剤は、健康診断じゃ、分からないわよ。薬物検査なんて、しないもの」  と、彼女は「真顔」で答えてくれました。 「一度離婚したこと。息子さんが、『傷害事件』をおこして『少年刑務所』にはいっていること。ついつい『付き合っていた男』に勧められて、『覚せい剤』に手を染めてしまったこと」  などを、問わず語りに語ってくれました。    また、和光病院を退院したら、 「赤城(群馬県渋川市)にある、『依存症治療専門』の病院にはいって、『覚せい剤依存』から、本気でぬけ出したい」  とも、『真剣』に語ってくれました。 「覚せい剤」  の「誘惑」には一度負けたけれど、この人なりに「必死」に、「生きよう」としていることが伝わってきて、最初抱かされた「とんでもない人」という「印象」は薄らいでしまいました。 (第四章に続く)
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