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その「患者さん」も、新館C号棟2階の「女性部屋」に、はいっていたのです。
奇妙なもので・・・
その日から、「その患者さん」と、ときどき「口をきく」ようになりました。
「水商売関係」の方かな?
と、思ったのですが、仕事は「タクシー・ドライバー」ということでした。
今は、女性タクシー・ドライバーは珍しくはありません。
う~ん
「覚せい剤依存症」
で、タクシー・ドライバーは「危ないなあ」と思ったのですが、それは黙っていました。
そのかわり、
「プロ・ドライバーだと、健康診断、厳しいんじゃないですか?」
と、訊いてみました。
「飲酒の方が、厳しいわね。覚せい剤は、健康診断じゃ、分からないわよ。薬物検査なんて、しないもの」
と、彼女は「真顔」で答えてくれました。
「一度離婚したこと。息子さんが、『傷害事件』をおこして『少年刑務所』にはいっていること。ついつい『付き合っていた男』に勧められて、『覚せい剤』に手を染めてしまったこと」
などを、問わず語りに語ってくれました。
また、和光病院を退院したら、
「赤城(群馬県渋川市)にある、『依存症治療専門』の病院にはいって、『覚せい剤依存』から、本気でぬけ出したい」
とも、『真剣』に語ってくれました。
「覚せい剤」
の「誘惑」には一度負けたけれど、この人なりに「必死」に、「生きよう」としていることが伝わってきて、最初抱かされた「とんでもない人」という「印象」は薄らいでしまいました。
(第四章に続く)
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