第四章  別処沼公園

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「あの」  と、ぼくは少し話を別の方向に移しました。 「赤城の『専門病院』は、いつ退院されたんですか?」  そう訊いてみました。 「うん」  俊藤さんは、少しためらうように、答えました。 「最低、3カ月はいなければならないんだけれど。。。2週間で脱出しちゃった」 「ええ!」  ぼくは、さすがに驚きました。 「駆け落ち、しちゃったのよ」 「か、駆け落ちですかあ?他の患者さんと?」 「ええ。もう別れちゃったけど」    ・・・    ぼくが答えないでいると、 「でも、もう『覚せい剤』とは、一切手を切ったから、心配しないでね」  と、言いました。      車が「別処沼公園」に近づいてきました。      急に、グンと体がシートに抑え込まれました。  俊藤さんが、車のスピードを上げたのです。  ちょうど「別処沼」の横の道路に、さしかかったあたりです。  突然のことでした・・・ 「お前はな・・・」   俊藤さんとは、別の声がしたのです。 「お前は、呪われているぞ~」  はっきり、そう聞こえました。   「おとなしくしてよ!やめて!大事なお客さん乗せてるんだから」  俊藤さんが、叫びました。      俊藤さんは、車線を変えながら、前の車を次々追い抜き始めました。    体が右左に振られました。  何が起きたのかわからず、 「俊藤さん、スピード落として!」  と、ぼくは叫びました。 「だめよ、あなたも呪われる」  俊藤さんが、悲鳴に近い声で、返事しました。 (第五章に続く)
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