第五章  沼に棲むモノ

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第五章  沼に棲むモノ

「はは!お前の周囲にいる者はすべて『呪われる運命』なのだ」  また、俊藤さんとは、別の声が響きました。   「はっ」と思い出しました。  病院での出来事です。  バッグをテーブルに返した夜を。    あの日、俊藤さんが、しばらくの間、まるで、 「誰か別の人と会話」  しているような、「ひとり言」をいっていたのを!    ぼくは、車の「ルームミラー」に目をやりました。   が、俊藤さんの「表情」をうかがうことは出来ませんでした。   ぼくの住むマンションの前に着いたときには、ぼくはもう「命からがら」という気分になっていました。    料金は2000円弱くらいでしたので、すぐに2000円を出して、 「ありがとう。おつりはいいです」  といって、降りようとしました。    しかし、お金を受け取ると、俊藤さんは、しばらくうつむいたままでいました。  ドアを一向に開けてくれません。  ぼくは「動くに動けずに」困惑しました。  
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