第二章  不思議なひとり言

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 トラブルが起きたのは、その「部屋」で、でした。  ぼくの方のベッド・スペースに女性用のバッグが落ちているのを、見つけたんです。  それでお隣さんに、 「バッグ落ちてます」  と、声をかけたんですが、返事がありません。。。  よせばよかったんですが・・・  ナース・コールすればよかったんですが。  何しろ、「この病棟」のナースは「飛び回って」いるので。。。少し遠慮もあって。。。    実は、そのときぼくは、点滴と「痛み止め」のおかげで、ちょっと元気を取り戻していました。  病院に入院されたことのある方は、分かると思いますが・・・  カーテンで仕切られた、ベッド・ルームは狭いので、お隣のテーブルが、こっちへ少し「出っ張ってる」ことがあります。  で、ぼくはバッグを「拾い上げて」、ちょっとだけカーテンを開け、バックを「お隣」のテーブルの上に置いたんです・・・  すると。  カーテンが「突然」シャーっと「音」をたてて開けられました。  髪を赤く染め、スパンコールの付いた派手なワン・ピースを着た中年の女性が顔を出して、 「ありがとう」  と、「ろれつ」の回らぬ声で、言ったのです。  ひどく「目」が「とろ~ん」としているのが、印象に残りました。
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