2人が本棚に入れています
本棚に追加
「カンファレンス・ルームにちょっと、おいでいただきたいんです」
という、ナースの後を、「点滴棒」を転がしながら、付いていきました。
「お隣のカーテン、開けられました?」
そう、ナースに訊かれました。
「ええ」
ばくは、意味のわからぬまま、答えました。
「バッグが落ちていたんで、拾って、お隣に返したんです」
「・・・親切はいいんですが。そういうときはナース・コールしてください」
「どうかしたんですか?」
「プライバシーを侵害されたって、クレームがついてるんです」
「ええ!」
ぼくは、驚愕しました。
(だってさっきは「ありがとう」って、いったじゃないか)
と、心の中で叫びました。
カンファレンス・ルームには、「当直」の先生まで、おられました。
顔見知りの「岡田先生」だったので、少し「安心」しましたが・・・
ぼくが、部屋にはいるなり、あの隣の、「中年の女性」が、「わめき」はじめました。
「病院のベッド・スペースは、プライベートなものだ。告訴してやる。さもなくば、すぐこの場で『こいつ』を強制退院させろ」
と、いうような意味のことでした。
ぼくは、むっと、しましたが、
「この人、普通じゃない」
と、思ったので、
「親切のつもりだったんですが、不快な思いをさせたとしたら、すみません」
と、一応あやまりました。
最初のコメントを投稿しよう!