猫々パニック

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しばらくして、今度はあの男がやって来た。 名前はひろき。そうみずきが言っていた。 ひろきは空き地に走って入ってくると、残念そうな笑みを見せながら私の方へ歩み寄ってくる。 「また来たよ、タマ」 この野郎は私の事をタマと呼ぶ。 タマ……この響きは何故だか妙にしっくりくる、故に私の名前はタマなんだと自負している。こんなに素晴らしい名前をつけて貰えた猫は他にいないだろう。 「つっても、最近はあの人が目当てだったりしてな、ハハハ……気を悪くするなよ?タマ」 いやしかし耳の後ろをこちょこちょされると、中々心地良いものだ。 「あの人は今日は来たか?」 その台詞を聞くのは本日2度目です。 「あの人来てくれないかな。可愛い人だよな、あの人」 それももう聞いたよ全く。 両想いならさっさとくっついてしまえ。 「今度会ったら、メアド聞いてみようかな……彼氏いたら死ねるなぁこれ」 お前はみずきか。 私のツッコミなんか聞こえないんだろう。今日のひろきは、日が暮れるまで私の相手をしてくれていた。
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