運命の日

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どこを見ても、黒。 黒の世界が、広がっている。 そんな中に悪魔の声が響く。 「では、契約を始める」 美夕はゆっくり頷いた。 恐怖は全くない。 あるのは、復讐に燃える強い思いだけ。 「お前の名前は?」 「織田美夕」 義務的な問い掛けを行う悪魔に、美夕は至って冷静に答える。 「織田美夕、お前はその魂と引き換えに何を望む?」 「生き返って……私を殺した奴に復讐する」 美夕の言葉を聞いて、悪魔は嬉しそうに笑った。 「では、左手を前に出せ」 美夕は言われた通りに左手を前に出した。 すると、悪魔は無言で腕を振るい、先程と同じように真っ黒な炎が発生させた。 悪魔はその黒い炎を美夕の左手の甲に近付けた。 「熱……っ」 その熱さに、思わず声が零れる。
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