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病院で再び目が覚めたのはあの日から一夜空けての夕方だった、ベッドから体を起こして座位になっていると、ビアンカがあのシルバーを連れて見舞いに来てくれた。
「あ、起きてたんだ。…えっと、元気にやってる?」
「うん、早く退院できるようにビアンカからも言ってくれるかな」
自分の軽い冗談に彼女は苦笑すると、話のしやすいようにベッドの脇の椅子に座った。
それからずっと聞きたかったことを聞こうとする、自分の記憶に何らかわりはなかったし、『家族』が見舞いに来てくれてもいいはずだ…
「あのね、あなたの家族のことなんだけど…」
こちらから切り出すつもりが逆に先手を打たれてしまった、とはいえこちらから聞きたいことだって沢山あるのだから構わない。
「率直に言うことしか私にはできないから、ショックを受けないでほしいんだけど…家族の記憶がないのね?」
「うん…ビアンカ、僕の家族について知っていることを話してくれるかな」
ひとまずは原因ではなく、どうすべきかを優先することにした、一日考えた結果だ。
ビアンカなら包み隠さず話してくれるだろう、そう思っていた。
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