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それだけだった、もちろん顔を思い出したわけではなかったが、それでもあらかたの事情は嫌でも理解できる。
「あなたのお父さんとお母さんは…いないのよ」
…そうなのか…
やはり少なからずとショックを受けた、だけど彼女がこの事実を言うのにも辛さは伴ったはずだ、だからあえて自分の方こそ言葉が暗くならないように
「…ありがと、ビアンカ」
今はこれだけだ。
ビアンカが責任を感じる必要はない、そうだけど彼女は下を向いたまま「…うん」とだけ答える。
その時、さっきまでおとなしくしていたはずのシルバーがベッドの上に飛び乗ってきた。
「うわっいってぇ!」
「…っあはは!」
ナイスタイミング、くさい演出だな、お前も。
「ワンッワオォーン!」
なにが彼の琴線に触れたかは知らないが…ったく、人の上で遠吠えを始めるな。
やっぱ変わってないな、ビアンカも、リュウも。そうそう、リュウのことについてもだが…
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