その名を『はじまり』

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 ----時は一刻を争う。  早く、早くこの飛竜を仕留めなければ……  そんな意思に反して足が動いてくれない------これは、精神力の面で圧されているというのか……  雷鳴が轟いている、豪雨が自分が冷や汗をかいていることを知らせなかった。  二人を連れてくることも出来なくはなかった、しかし、これは  ----嫌だ、これは僕自身の問題だ。  己が身で解決すべき問題である。  そう信じてやまない。  気取られぬよう深呼吸をする、足が動く。 「よし」  今、一人と一匹は対峙していた。  感覚を研ぎ澄ます、一粒一粒の露が地上に降り立つ音さえ明瞭に感じられた、もっともそれ以外の音が聞き取れるわけでもなかったのだが。  次のその瞬間だった、一際大きな雷があたりを昼間のように照らし出す。  ----同時、同時だった。  一気に間合いを詰めようと走り出す、瞬きを開けば火球が目前に迫っていた、すんでの所で回避、そうして立ち上がると背中に背負われていた巨大な剣を構える。  『それ』は助走もなく突進にうつってきた、だが、今度は避けようとしない、前を見据えている、あと少しで巨体がその人間を吹き飛ばすというところ、彼は足と足の間をかいくぐってタイミングを計り、軽々とその巨大な剣を振り上げた。  もろに腹をもっていかれる『それ』、耳をつんざく悲鳴と言えるであろう咆哮を上げながら後方へ倒れ込む------しかし、致命傷を与えるには満たないようだ。 (まだだ、いける…!)  ----そう、遂にここまできた。  体勢をまだ立て直せていないそいつに突進していく。 「うおおおぉっ!」  お前……お前だけは許せない。  許すわけにはいかないんだ!  当初の冷静な判断力は既に消え去り、残された怒りに身を任せて行動していた。  ----彼は復讐心に捕われてしまっていた。  そして----
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